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黑鍵

你要行走的,是永遠的苦旅。你能看見的,是瞬間的捷徑。

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又做没建设性的事情了……录入什么的,对不识字的人来说真是龟速!


その球戯には、命がかかっている。

負けた者は生贄にされる。

太陽はすでに密林の向こうへと姿を隠した。無数の篝火が焚かれた神殿前広場には、大勢の貴族たちが球戯の開始を今や遅しと待ちかねている。

目の前にそびえ立つのは、ひときわ巨大な真紅の神殿だ。その威容を見上げながら、サク.トゥークは防具のベルトを諦め直した。


「見えるか、サク。あの神殿のてっぺんにいる男だ」

「見えるよ、チャブ。玉座からこちらを見てる。金のかみの。あれがムタル王、キニチ.アカブ.バラフムだ」

太陽が最も大勢盛んになる、この時期。

密林の王国ムタルでは、夏至祭と呼び慣わす「太陽祭祀の儀」が執り行われる。とりわけ、十二年に一度のこの年は、大祭であり、国家挙げての大行事となる。

今度の大祭は王の代替わりを受けて、ひときわ盛大に行われる。中でも、今から王の前で行われる祭祀球戯は、特別な儀式であった。「バフラムめ、相変わら傲岸不遜な顔してやがる。俺の国はあの男に滅ぼされたんだ」

チャブは呪わしげに玉座を見上げている。肩を並べる二人の球戯者は、<蛇の組>のチームメイトだった。

「負けた組の球戯者は、この場で全員クビ刎ねられて生贄だ。絶対負けるわけにはいかない。俺はこんなとこるで死にたくない、サク」

「……ああ、そうだな。首を刎ねられるなんて真っ平だ」

「誰がムタルの国の生贄になんかなってやるもんか。勝って一緒に生き残ろうぜ、サク」

ああ、と答えながら淡々と肘の防具をつけている。サクと呼ばれた黒髪の若者は、年の頃はまだ十六か七。屈強な球戯者の中にあって、体つきは一段小柄だが、均整のとれた肉付きが敏捷な獣を思わせる。

(そうだ。首刎ねられるわけにはいかない)

目指す場所はひとつだ。そのために俺は球戯者に志願した。この日のために。

夏の夜の濃く湿った大気が肌にまとわりつく。漆喰で白く舗装された球戯場に、裁定の神官がやってくる。打ち鳴らされる太鼓が否が応にも心臓の鼓動を高揚させる。

「だが気をつけろよ、サク.トゥーク。熱くなっても、やりすぎは厳禁だ。勝とうとして暴れ過ぎれば、そっちのほうが数段ヤバイ。頂点は避ける。目立ち過ぎるな。あくまで七人の六人に留まっている。「聖なる心臓」に選ばれたくなければ」

サクは最後の防具をつけ終えた。

「……難しいな」

七人一組の球戯者が向かい合う。

競技開始だ。

 

「今年の捕虜球戯者は粒ぞるいです、王よ」

神殿ピラミッドの最上階から観戦するムタルの王に、玉座の傍らから声をかけていったのは、白い官僚服に身を包む男だ。王の右腕。名は執政官ククという。

「十二年に一度の大祭に合わせ、選りすぐりを集めました。いずれも勇猛な球戯者揃い。この中から「聖なる心臓」が選び出される。王のお目に適う心臓が必ずや見つかりましょう」

ムタル国王バラフムは玉座に腰かけ、眼下の球戯場で激しくゴム球を奪い合う球戯者たちを見つめている。若き王は、誰もが惚れ惚れとする男ぶりだ。浅黒い肌も眩しく、鍛え上げられた肉体は、はちきれんばかりの生命力に満ち充ちている。漲る胸をおびただしい翡翠で飾り、威厳を湛えて神殿の頂に君臨する、第五代ムタル王アカブ.バフラム。

大地を覆う密林は、いま闇に沈もうとしていた。無数の篝火でこうこうと照らされた都市国家ムタルの都は、今宵、沸き立っている。打ち鳴らされる太鼓と鳴り物の音が、夜の密林にこだまする。

……………………………………………………update……………………………………………………………………

いまや最強王の称号を恣にするバフラム。目を惹くのは、太陽のごとく輝く金色の髪だ。幼少時は、他の民と同じ黒髪だった。戦を重ねるごとに金髪へと変わっていったという。だが異形は優れた王の証だ。太陽神に愛された証、と人々は畏怖した。

その王国の守護神、太陽神キニチ.アハウを祀る、十二年に一度の国家行事、「太陽祭祀の儀」。今宵から七日間、都は祭りの高揚感に酔いしれる。

「<蜂の組>が優勢だな」

バラフムが口を開いた。

すかさず隣から執政官ククが、

「球戯者ヤカは栄えある『聖なる心臓』候補の筆頭です。よく御覧を。赤い腰帯に黒い頭帯の男です」

だがバラフムの視線は、別の球戯者を追っている。先程から抜群の動きを見せている者がある。

「あれは誰だ」

青い頭帯をつけた<蛇の組>の若者だ。体つきは皆より、ふたまわりは劣るが、敏捷性といい的確な球使いといい、やけに目を惹く。

「初参加の捕虜のようですな。名は——サク.トゥーク」

「<白いフリント>?」

そのサクがまた絶妙なコントロールで球を自陣のゴール穴へと蹴り込んだ。祭祀球戯において、黒いゴム球は太陽を象徴する。ただひとつの太陽を自陣により多く呼び込んだ組の勝ちだ。

ルールは至って単純。ひたすらゴム球を体で打ち合って、両陣の背後の壁に空けた長方形のゴール穴に入れる。体のどの部位を使ってもいいが、持つのだけはいけない。バスをつないでゴールにぶら込めば一点だ。

だが大祭で行われる球戯者は全員「選りすぐり」の栄誉を得るが、負けた組の球戯者は、終了後、生贄として首を刎ねられる。その血は神へと捧げられる。だから死にものぐるいになる。それが観る側の興奮を呼ぶ。数多ある球戯者の中でも選りすぐりの男たちが、生死をかけた真剣勝負を繰り広げるのだから、普段の試合とは次元が違う。命がけの球戯ほど血が騒ぐものはないのだ。

「二点差まで追い込んだ。逆転するぞ。チャブ」

「おい、あんまり無茶するな、サク——ひとりで点を入れすぎると『聖なる心臓』にされてしまうぞ!」

「そんなこと言ってる場合か。負ければ即、打ち首なんだぞ」

(勝たなければ意味がない。勝たなければ!)

サクは猛烈な距離から果断にゴールを狙う。その奮闘に場内は沸いた。

「逆転しましたな」

執政官ククも驚いている。以後バフラムの目はひとりの球戯者だけを追い続けた。激しい肉弾戦だ。死にものぐるいともが崖っぷちで球を追う様はもはや格闘技以外のなんでもない。死力を尽くした熱闘は、ついに決着の時を迎えた。

「終了!十二対十で、勝者、<蛇の組>!」

怒涛のごとく歓声が轟いた。サクの組の勝利だ。生き延びた。十四人の球戯者が、天国と地獄を分けた瞬間だ。負けた組の者たちは、絶望と恐怖に襲われて、次々地に伏した。

敗者はすぐさま神殿に引きずられて行き、生贄となる支度が始まる。

だが、それで終わりではないのが、今年の夏至大祭の祭祀球戯だった。真の目的は「聖なる心臓」と呼ばれる最高の生贄を選出することにある。敗北の汚点なき勝者から、最も優れた球戯者を、王がじかに指名する。その心臓を太陽神に捧げるのだ。

だから、まだわからない。

栄えある勝者から、それを選び出されるのだから。

(頼む。俺は死にたくない)

チャブは祈った。

(俺はまだ死にたくない。選ばないでくれ)

玉座のバフラムが、すっくと立ち上がった。

神殿前に並んだ勝ち組七名の中から、もっとも優れた球戯者を指名する、しん、と静まり返った。

バフラムが右手を前方に差し伸べた。

「今年、太陽神へと捧げる『聖なる心臓』は、——青い頭帯の球戯者。サク.トゥーク!」

わあ、と歓声があがった。鳴り物が打ち鳴らされ、踊り出す人々で球戯場は熱狂の渦と化す。青ざめて振り返ったのはチャブだ。

「……サク……」

しかし本人は動揺していない。その眼は、玉座の王を睨んでいる。



TBC


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